こんにちは。
2023年3月20日月曜日に放送された「罠の戦争」第10話の感想です。
あらすじは書いていません。ドラマを見て思ったこと、感じたことなどを書いています。
感想部分にネタバレが含まれますので、まだ視聴されていない方は読む読まないの選択をお願いします。
あらすじをお知りになりたい方は、公式サイトをご確認ください。
- 過去のエピソードとの絡み
- 可南子の過去、思いのほかあっさりと語られる
- 鷲津vs鶴巻の終着点
- 鷲津を駒としてしか考えていない竜崎総理
- 鷲津と鷹野が決裂
- ついにきた!鷲津vs蛯沢 鷲津を竹に例えた意味に震えた
- おまけ
- 最後に
過去のエピソードとの絡み
第10話は過去のエピソードを思い出すシーンが何ヵ所かありました。
第4話の選挙戦で、可南子(井川遥さん)が鷲津亨(草彅剛さん)の演説の嘘に気付いた時に「でも私にだけは嘘をつかないで。気付いちゃうと思うから」と言っていましたが、怪文書の内容が本当かどうかを可南子が鷲津に聞いた時に鷲津は平気で嘘をつき、その嘘に可南子は気付いているようでした。
また、病室で息子・泰生(白鳥晴都さん)に「お父さんさあ、全然かっこよくないよ」と言う鷲津に、泰生のために闘っている姿を可南子が「十分かっこいい」と言うシーンがありましたが、今回、泰生から「お父さん、かっこ悪い」と言われていました。
力を得る前の鷲津と代議士となって力を得た後の鷲津との違いがよくわかるやり取りだったと思います。
可南子の過去、思いのほかあっさりと語られる
可南子が働く「ウィメンズネット東京」に性被害の相談に来た女性と可南子が話す場面で、可南子の過去が語られました。
「誰かを救い上げる力が欲しい」と言っていた可南子に何があったのかがずっと明かされずにきたので何かしら意味があると思っていたのですが、さらーっと語られて終わり。
物語の展開に特に関わりのない出来事だからなのかな。それなら、ちょっと引っ張りすぎたように感じました。
温かい強さを持つ可南子のエピソード、もう少し丁寧に描いてほしかった。
鷲津vs鶴巻の終着点
鶴巻元幹事長(岸部一徳さん)の不正の証拠をついに手にした鷲津。
しかし、総理の考えで鶴巻は勇退するという形になりました。
引退会見後、鶴巻が鷲津に言った言葉を2ヵ所引用します。
この国の人間は気分でしか政治を考えない
不満を言うだけ、あとは国が何とかしてくれると思ってる
不満が溜まり過ぎてガス抜きが必要になったら総理を変えてやる
それで意見が通ったと満足するわけだ、あの連中は
だから私は決してトップには立たず、次に挿げ替える首を用意してきた
そうやって秩序を守ってきたんだ
鶴巻元幹事長セリフ引用:「罠の戦争」第10話
今の日本を指摘しているようなセリフ。
また、力を持ったことで堕ちていった鷲津の心理状態を表すセリフもありました。
気持ちいいだろ?力を使って誰かを救うのって
そうなんだよ、気持ちいいんだ
誰かのために善を成す、でもそのためにはもっと力が必要になる
いくつかの善を重ねるうちに、いつかそれが悪と呼ばれるようになる
君もすっかり囚われているんじゃないのか
権力という魔物に
鶴巻元幹事長セリフ引用:「罠の戦争」第10話
岸部一徳さんってすごいですね。オーバーな演技をしなくても、佇まいやよく通る声の抑揚と表情で様々な表現をされる。「権力という魔物に」と言った後の表情とかすごくおもしろい。
ど素人が偉そうに何言ってんだって感じですけど、ドラマでの鷲津と鶴巻のやり取りは毎回見応えがあったし、おもしろかった。
鷲津を駒としてしか考えていない竜崎総理
竜崎始総理(高橋克典さん)は厚生労働副大臣の座をエサに鶴巻の弱みを鷲津に調べさせるが、鶴巻の不正の証拠を得た鷲津が証拠と引き換えに副大臣の座の約束をしてほしいと交渉すると不快感を示し、結局鷹野(小澤征悦さん)を副大臣に任命する。
竜崎総理にとって鷲津はただの駒で、鷲津が同じ土俵に立っているかのような振る舞いをしたことに自分の立場がどういうものなのかをわからせようとした感じでした。
鷲津は力を持ってもさらに力のある者に屈服させられ、それでもまだ力を持とうと総理の言いなり。
力を持ってもさらに力を持つ者に力で抑えられることで、どんどん歪んでいく鷲津。ワナワナします!
鷲津と鷹野が決裂
厚生労働副大臣の座を鷹野に奪われた鷲津。
鷲津の家に来た鷹野に怪文書の犯人じゃないかと言い、さらに鷹野が一番言われたくない言葉、一番言われたくないと知っているにもかかわらず「苦労知らずの二世議員」という言葉を投げつけ、鷹野は怒って帰る。
この後に鷲津は可南子とケンカをしますけど、この時の可南子の言葉「嘘でしょ?鷹野さんを疑うなんて」って言葉にドラマを見ているこちらもぐさっときました。こちとら第1話からずっと疑っていたよ…。
鷹野はドラマの中で「鷲津の味方でしょうか~敵でしょうか~どっちでしょうか~怪しいだろ~」という表情のシーンが多すぎなので、疑うのも仕方がない。うん。
でも、鷹野が本当に鷲津との友情を大切にしていて、鷲津のためにいろいろと考えをめぐらしている時に怪しい顔をしていただけで、最初から最後まで鷲津の味方だったなら嬉しい。
第10話で鷲津と鷹野は決裂してしまいましたが、最終回でその関係が修復されると思う。きっと。
ついにきた!鷲津vs蛯沢 鷲津を竹に例えた意味に震えた
ついにきましたね。鷲津vs蛯沢眞人(杉野遥亮さん)。
怪文書の犯人は蛯沢でした。
蛯沢・兄(森田管路さん)の陳情を担当したのが鷲津だと知っても、鷲津の議員としての働きを見て支えると決めた蛯沢にとって、鷲津が権力に溺れて弱い者を踏みつける側になったことは許せることじゃなかったと思う。
第9話の録画を消しちゃったので確認できなかったんですけど、第10話で蛯沢は鷲津と対峙している時は肘のあたりをぎゅーっと握っていて。
このぎゅーに隠している鷲津への怒りが現れていて、第2話の犬飼のバーベキューで椅子を蹴っ飛ばす怒り方をした時に、蛍原さん(小野花梨さん)から「怒り方を間違っちゃダメ」と言われていたことから学んだのかなと思いました。怪文書というやり方がいいとも思いませんが。
そして、蛯沢が鷲津を竹に例えたシーン。
経営に困っている人からの陳情書を持ってきた蛯沢が、竹細工を見て鷲津に竹の花について話す。(陳情書を鷲津は見もしない、そしてこれが蛯沢から鷲津への最終勧告だったのかもしれない)
蛯沢「鷲津さん、竹に似てますよね。ぐいぐい伸びてしなやかで折れない」
鷲津「しかもなかなか花が咲かない」
蛯沢「もう十分立派な花、咲いてるじゃないですか」
鷲津「いや、もっとでかい花、咲かせるよ」
セリフ引用:「罠の戦争」第10話
そして怪文書。
竹に似て、しなやかで折れない鷲津は、今や権力という花に夢中
怪文書に書かれた言葉引用:「罠の戦争」第10話
この言葉で鷲津は怪文書の犯人が蛯沢だと知る。
鷲津に呼び出された蛯沢の言葉。
花が咲いた後、竹がどうなるのか知ってます?
枯れるんですよ
めったに咲かない花が咲いた後、一斉に枯れて死ぬ
竹林丸ごと消えてなくなる
蛯沢セリフ引用:「罠の戦争」第10話
この流れ、なんとも美しい。
鷲津を竹に例えて「もう立派な花が咲いている」→「枯れて死ぬ」こと、鷲津の破滅をすでに示唆していたなんて。
蛯沢が植物学を学んでいたことがこんな形で見せられる(魅せられる)とは。すごい脚本に痺れまくっております。本当にすごい!
そして最後の蛯沢のセリフ。
このままじゃ兄貴が浮かばれない。だから決めた
鷲津亨を許さない。絶対に許さないって
蛯沢セリフ引用:「罠の戦争」第10話
きらっきらの杉野遥亮さんのまっすぐな目がきらっきらしたまま怒りを表していて。このきれいでまっすぐな怒りは杉野遥亮さんしか出せない怒りの表現。
このドラマは配役がすごく良いと思っていましたが、杉野遥亮さんが蛯沢を演じることの意味、醜く堕ちた鷲津をきらきらしたまっすぐな蛯沢が復讐するストーリーの流れ、すごく好きです。その蛯沢を犬飼の事務所に引き入れたのが鷲津本人ってのもいい。(変人じゃないよ)
最終回にどう決着がつくのか、まったく読めません。そしてそこがまた楽しい。
おまけ
おまけ① 10話に出てきた苗字に生き物の名前が入っている登場人物
可南子が働く「ウィメンズネット東京」に相談に来た人は烏丸(秋谷百音さん)、鷲津の大学時代からの友人で東京国税局の職員・犬童(森田豊さん)、名前だけですが厚生労働副大臣で斑鳩(いかるが、漢字は「鵤」かもしれないけど、鳩の入っている「斑鳩」だと思う、たぶん)という名前が出てきました。
犬童の「犬」は犬飼親子(本田博太郎さんと玉城裕規さん)にも使われていたので2度目。他にも生き物が入っている苗字はありそうですけども。めんどくなったのかな。
おまけ② グルースコンサルティング
鶴巻の次男・紀次(尾関伸次さん)の経営する「グルースコンサルティング」の「グルース」は鶴のラテン語みたいです。
そんだけです。
最後に
いよいよ残すところあと一話。最終回のみ。
第10話で鷲津は、可南子、息子・泰生、鶴巻、竜崎、鷹野、熊谷記者(宮澤エマさん)、蛍原さん、蛯沢など、味方が一人もいない状況になりました。貝沼さん(坂口涼太郎さん)の笑顔も消えちゃったし…。
復讐に燃えていた鷲津が権力という魔物に囚われ、復讐される側となった。
どういう結末を迎えるのか、ワナワナしながら最後までドラマを楽しみたいと思います。
最後に、蛯沢が鷲津を竹に例えたこと。
竹林は枯れた後にどうなるのか。
マダケとハチクの開花は120年周期といわれています。文献によると、マダケは1950年から1960年頃に全国的に開花しています。その開花後マダケの竹林が一斉に枯死したため竹材が不足し、プラスチック製品に置き換わったといわれています。マダケとハチクは開花しても種(たね)ができず、代わりにタケノコが伸びることで、竹林が再生されるのです。
ここに書かれているように、竹林が一斉に枯れてもタケノコが伸びて竹林が再生するように、鷲津がまた元の鷲津に戻ることを願っています。
それでは、また。